昼に猛母を連れて医科大へ・・・・・
再発した膀胱がんの説明を聞きに行く・・・インフォームドコンセント?・・・・
今日は息子さんも・・という医者のリクエストで、俺も付き添う・・・・
若い医者の話ではがん細胞が尿に混じっているので検査しないといけないという。
検査といっても膀胱の細胞を何箇所か採取しなければならないから入院を要する。
そして検査の結果、最悪ならば腎臓か膀胱を取らなければならない。
猛母は待合室では「この歳になったら手術はもうイヤじゃ
病院には入らんからな・・・・」と言っていた。
ところが医者の話を聞いている猛母の横顔を見たら
目が青白く澄んでいる。
それは鉄火場で振られた壷を見つめる賭場師の目だった・・・・・
医者が俺に話を振る・・・・「息子さんのご意見は?・・・・・」
俺に意見があろうはずもない・・・「母の言うとおりに・・・・」
と、その時、猛母が口を開いた
「しますッ!検査してくださいッ!!」
俺はびっくりして猛母を見た
猛母は医者をにらみつけている
それはまるでがん細胞相手に勝負を挑んで「白黒つけたろやないかいッ!!」
とでも言っているようであった。
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猛母はファイターである・・・・・・・・・・・・・・・
世の中にファイターはいくらでもいる
しかし、いつまでもファイターはなかなかいない
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俺が彼女だったらどうしただろう?・・・・・
80過ぎてもなおファイティングスピリットを持ち続けることができるか?・・・・
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猛母は教えてくれている
今までは「生き様」を・・・・これからは「死に様」を・・・・・