小さい頃、両親や周りの大人たちから二言目には
「おかてがなくなる・・・」と言われた・・・・・・
今にして思えばあの(おかて)とは(糧)のことだと解る
「○○を糧として・・・・」の(かて)だ・・・・・・
つまり、人間には各々その人によって一生のうちに使う量というものが
最初から決まっているのだから無駄遣いをするとそのうち無くなって
つらい思いをするよ・・・・という戒めなのだ・・・・・
例えば水を出しっぱなしにしながら歯を磨いていたりすると
「おかてが無くなるぞ!!」と、酷く叱られた・・・・・・
ご飯を食べる時も少しでも残すと「おかてが無くなる!」
といって無理にでも食べさせられた・・・・・・・
俺達が子供の頃はみんなそんな感じだったのだ・・・・・・
俺がこの(おかて)を実感したのは爺さんの死に対峙した時だ
それまでほとんど笑うことのなかった爺さんが死ぬ半年前ほどから
何を見ても笑うようになった
それも女子高生のようにコロコロと笑うのだ・・・・・決してボケたわけではない
俺は爺さんが死んだ時に
ああ、あの爺さんはこの世で(笑うおかて)を使い切って死んだのだナ
と思った・・・・・・・
個人差はあるにせよ、きっとみんな自分の(おかて)というもの持っているのだ・・・・・
俺は神も仏も信じないが(おかて)は信じる・・・・・
Nよ、お前はきっと(起きている時間)というおかてが残り少なくなってきているのだ・・・・・
周りのみんなから愛されていることに感謝して
無駄遣いを自覚しろ・・・・・・・とにかく横になれ・・・・・