今日は俺の56回目の誕生日だ・・・・・
56年前、俺はこの世に生を受けた・・・・・
桜が満開の季節である・・・・俺が生まれた夜
俺の親父は花見に行っていて帰って来なかった・・・・
携帯どころか家庭の固定電話でさえ普及していなかった時代である
親父はいつものように花見でドンチャン騒ぎをしていた
朝帰りした親父は俺の爺さんにこっぴどく怒られたそうだ
そんな話しを俺の誕生日がくる度にオフクロはしてくれた・・
それから1年後の昭和32年のこの日(つまり俺が満一歳)
福井では季節はずれの雪が降ったという・・・・・
あまりの寒さに一歳の俺はびっくりしてしまったのかひきつけを起こした
爺さんは一歳の俺を懐に抱え、肌蹴た寝巻きも気にせず
「わしの孫が死んでしまう!!」
と泣きながら裸足で医者まで走ったという・・・・・
「アハハハ・・・爺ちゃん、ビックリしたんやろなあ〜」
と、オフクロは可笑しそうにいつも話してくれた・・・・
「爺さんは本当にお前が可愛いかったんや・・・・
お腹を痛めたワタシよりも可愛いかったんや・・・」
少しばかり母性に欠けるオフクロは
爺さんに赤ん坊を取り上げられても
(爺さんが面倒みてくれるから楽チン)ぐらいの感想で
俺の家では結構バランスがとれていたみたいだ・・・・・
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56年・・・・・一瞬の夢のようだ・・・・