日曜のフルマラソンのあと、その日に予約を入れておいた和倉温泉
安宿になんとかたどり着きさっそく風呂に入ることにした・・・・
ここは去年の7月のマラソン大会でも一度使ったことがあり
1泊2食付で7800円とリーズナブルな安宿だ・・・・・
風呂に浸かってからサウナに行くとそこには一人先客がいた・・・
30代とみられる若者で彼もマラソン帰りのようだった・・・・
「どこから来たの?」と聞くと富山からだと言う・・・
「昨日走って来て明日また走って帰るんですよ・・・」と彼は言う
「高速だと直ぐだものね・・・」と俺が言うと
「いえいえ・・・・走って帰るんです・・・・」と、彼・・・
「え?!走ってって・・・・自分の足でってこと?!」
「ええ・・そうです・・・・まあ60kmほどだからたいしたことありません・・」
と彼は何の気負いもてらいもなくサラリと言ってのける・・・
おいおいおいおいおい・・・・・・
「昨日、富山から走って来て、今日フルマラソン走って
明日また走って富山まで帰るってことか?!!」と俺が呆れて聞くと
「ええ・・まあ・・そういうことです・・・・」と、彼は応える
もうビックラコだ・・・・・・
ところが驚く話はそこからだった・・・・・・
福井では近頃のマラソンブームを受けて去年の秋
第一回の東尋坊ウルトラマラソンが開催された・・・・
第一回ということでたぶん準備不足もあったのだろう
気候的にまだまだ暑い時期で完走者も少なかったみたいで
今年は5月に第二回が開催されることになったみたいだ・・・・
その彼も今年の東尋坊ウルトラマラソンに出場すると言う・・・
そしてナント!去年の第一回で優勝したのだとこれまたサラリと言う
「なんとか2位の人に40分ほど差をつけることができました」
とさほど嬉しそうでもなくつぶやく・・・・・そして続けた
「5月の東尋坊もそうなんですけどそれより4月のさくら道ウルトラマラソンのほうが
当面の目標なんですよ・・・・」
「へ〜〜そんな大会があるんや・・・・いったいどこを走るの?」と俺
「名古屋から金沢の兼六園まで250km走るんですけどネ・・・」
「え!!おいおいおい・・・・・250kmってアータ・・・・・」
俺は空いた口が塞がらない・・・・・・
「去年も出たんですけど・・・・・去年は27時間かかってしまいました
今年はもう少しタイムを縮めたいんですけどネ・・・」
「27時間って・・・・・途中で寝たりせえへんの?」と
まだまだ事態をよく飲み込めていない俺はとんでもなくトンチンカンな事を聞く
「ええ・・まあ・・・寝たりはしないですね・・・・」
と兄ちゃんは苦笑いで返す・・・・・そして
「足、痛いですか?」と慈愛に満ちた瞳で聞いてくる・・・・
「この歳やからね・・・・・そりゃあ痛いですわ・・・」と俺
「僕も最初の2〜3回は痛かったですよ・・・・そのうち慣れます・・・・」
(いやいやいや・・君と俺とではレベルもラベルも何もかもが違いすぎるっての・・)
と、俺はひとりごちる・・・・・
「でも僕の親父も59歳からマラソン始めましたけど
今ではそこそこ走れるようになりましたよ・・・・」と慰めてくれる
なかなか優しい青年であった・・・・・・
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神様はどうしてあのタイミングで俺と彼を出合わせたのだろう・・・・
惨憺たる結果のフルマラソン初挑戦で失意のどん底にいた俺だったはずなのに
サウナから出てきた頃には
(もう一回、やってみっかな・・・)という気持ちになっていた・・・・