商売とは、出し抜いたり出し抜かれたり、裏切ったり裏切られたりの連続だ
そんな殺伐とした一面がある中でいかに自分なりのアイデンティティーを保ち続け
自分だけの相手からの信用を勝ち得ていくか・・・・・
それが商売の醍醐味みたいなものだがそんなハードな戦場に嫌気が差して2年前に俺はリングを降りた
あとは何年あるかわからない老後というものを静かに過ごすつもりだった
ブックオフとツタヤがあれば退屈はしないだろう・・・・・
そう単純に思っていた・・・・・・が、甘かった・・・・・
やはり、退屈なものは退屈である・・・・・
聞けば、ヤマジンも食料品業界のご他聞に洩れず近年は販売不振にあえいでいて
敗走につぐ敗走を余儀なくされているみたいだ・・・・・・
たぶん俺が営業に回ったところでそれほど飛躍的に売り上げが伸びることもないだろう
「昔取った杵柄」は平成の世の中では死語の世界だ
それでもまあ少しぐらいは俺の退屈をまぎらしてくれるかもしれない
食品業界はブラック企業が多い・・・・・ヤマジンもブラックだ
でもそれは仕方の無い部分が多いのだ
従業員に充分な休みを与えていたのでは食品業界のほとんどは死滅するだろう
今俺は南国の楽園からあえて不毛の砂漠地帯に足を踏み入れようとしている
先に待つのは緑のオアシスかはたまた死肉をあさるハゲタカの群れか