福知山フルマラソンは毎年11月23日の祝日に開催される

11月23日ともなると当然のことながら毎年寒い・・・滅茶苦茶寒い・・・

俺は福知山マラソンにはとにかく寒いという印象しか無い

だから一昨日の暖かくなるという天気予報にも懐疑的であった

暑くて異常に汗を掻いて足が攣るという真夏のレースのような暑さ対策は要らないだろうと思っていたが

それでも必要最低限の装備だけは身につけておこうとドリンクの入ったリュックを背負った

大会本部は「この後、気温が上がることが予想されますので各自充分に水分を補給して下さい!」とスピーカーで連呼している

俺とボッチは10時半のスタートに向けてGグループのスタートラインに一緒に立った

天気は快晴・・・・このあと暑くなるというのは本当かも知れない・・・・

とはいうものの・・・11月23日だよ・・・・

スタートの号砲を聞いた少し後、頬に冷たい風を感じながら俺たちは快調に走り出した

「長い時間走りながらいったい何を考えてるの?」とよく聞かれる

俺はずっと自分のフォームの事ばかり考えている・・・・

腹に力は入っているか?右肩は落ちていないか?前傾姿勢になっているか?胸は張っているか?・・・・

そして力みすぎてハイペースになっていないか?

ラソンとは今の自分の力量を推し量っていかにその力量を最大限に使って完走までもっていけるかプランニングする競技だと俺は思っている

だから遅すぎてもダメだし早すぎてもダメなのだ・・・・

余力を残してもダメだし最後にガス欠になって敗残兵のように歩いてゴールしてもダメなのだ

だからこれまでのマラソン大会で学んだ自分なりのチェック項目は山ほどあってその一つ一つを繰り返しチェックしながら走って居る

フォームのチェックと同時に気持ちのチェックもしなければならない

足や身体が辛くなるとどうしても顔が険しくなり気持ちが落ち込む

そういう時は俺は無理して笑うようにしている

そして沿道の小さな子供の「頑張ってね~~」という応援に対しても「おお!!頑張るでえええ!!!」と大声で返すことにしている

すると不思議なことに元気が出てくるのだ・・・どうしてだろう?・・・不思議だ

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滝のように汗が流れ身体中の水分が抜けていく・・・・飲んでも飲んでも喉が渇きいくら汗を拭っても次から次へと汗が噴き出してきた

倒れたランナーを運ぶ救急車のサイレンがひっきりなしに聞こえてくる・・・・

33kあたりで俺の足も限界を迎えてきた・・・・

これまでに何度も何度も経験している足の痙攣だ

それは最初足首から虫が這い上がってくるような感じに似ている・・・

最初の虫はアリみたいなものだがアリがクモになりクモがコオロギになり

だんだんと虫が這い上がって来る感じが酷くなってきて最後はムカデがよじのぼってくる

こうなるともうダメだ・・・・

俺はそのムカデを払い落とすべく他のランナーに迷惑がかからないように道ばたによけてから自分の足首をつかんだ

そのとたん俺の足はメドォーサに睨まれてしまったかのように堅い堅い石の棒になってしまった

俺は恥も外聞も無くその場に尻餅をついて倒れ込んだ

自分でなんとか足を伸ばそうとするがカッチカチの右足はまるでそのへんに落ちている木の棒みたいでなかなかご主人様の言うことをきいてくれない

するとそこへあるランナーが足を止めてくれて俺の足を伸ばしてくれた

感謝感激雨あられ・・・・である・・・・・俺はうめきながら

「か・・・た・・・・じ・・・・け・・・・・ない!」と三流チャンバラ映画の役者みたいな言葉しか言えなかった

なんとか足の痙攣も治り助けてくれたランナーは爽やかに走り去って行った

俺は右足を引きずりながらしばらく歩いていたがそれでもなんとか少しずつ走り出した

35k辺りからは暑さにやられたのかほとんどのランナーは歩いていた

みんな肩をおとしてトボトボと歩いている

俺はとにかく腕を振ってなんとか走った・・・・走る格好をした・・・・

ラソンは最後の5kが勝負なのだ

この5kを歩くと走るとではそのレースに対する満足感が段違いで変わってくるのだ

この福知山マラソンは最後のゴール前にダラダラとしたいやらしい上り坂が待っている

そこで毎回スピーカーから大音量で流されている音楽はサザンの「希望の轍」だ

いやらしい演出である・・・こりゃあ走らんわけにはイカンだろう・・・・

俺は最後の気力を振り絞って一度も歩くこと無くこの坂を登り切ってゴールした

5時間20分ぐらいかな・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・俺はいつまで走り続けるのだろう?・・・・