その時、山の端の牌がポロリとこぼれ落ちた・・・・・それは一瞬の出来事だったが
その牌は確かに「七筒」だった・・・・みんなの目がキラリと光った
今から40年以上前の話だ
場所は関大前の雀荘「若間」の2階・・・・・俺たちは端っこの卓で窮屈に座っていた・・・
面子は俺とNと鈴木のセンセ・・・・そしてデンちゃんだった・・・・
開局からしばらくしてから俺がリーチをかける
追っかけて鈴木のセンセもリーチ!・・・・・
仕方が無いなあと言わんばかりにNもリーチをかける・・・・
問題の山の端の牌のツモが迫って来た・・・・気づいていないのはデンちゃんだけだ
俺たちはその牌を誰が積もるのか目算して各々デンちゃんに声をかける
「ここはひとつチーやで!デンちゃん!!」
「何、言うてんねん!ポンに決まってるやろ!」
「あほか!?こんなとこで動いてどないするんや?!」
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結局みんなの待ちは俺が四七筒でセンセが間七筒、そしてNが辺七筒で、強欲なNが積もった・・
俺たちは口々に各々を罵り合う・・・・・
「お前~~~こっすいやっちゃな!!」
みんなが何を言い合っているのか全く解らずぽかんとした顔をしているデンちゃんにNが種明かしをする・・・・
デンちゃんは悄然とした顔をして力なく呟いた・・・・・
「お前らとは一生マージャンせん!・・・・」
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昨日、デンちゃんの奥さんの真智子さんが亡くなった・・・
・・・・・・・・・・・・・・・言葉も無い・・・・・・