サブ4以上のランナーに比べ俺みたいな所謂5時間ランナーにとってフルマラソンは「気持ちの競技」である

キロ表示が10kの看板を見て「やっと10kか・・・」などとは絶対思ってはいけない

たとえ心も身体もそう感じていたとしても無理矢理そんな考えは頭から追い出すのである

「あれ?もう10k?な~~んだ、あっという間じゃん!」と思い込むのだ

自分でも可笑しくなるが自分で自分を騙すのだ

次の目標地点は14k地点・・・・レースの3分の1である・・・・

ここでも同じく「まだ3分の1か・・・・」などとはゆめゆめ考えてはいけない

「あれあれ!もう3分の1来ちゃったよ!・・・・いける!いける!」と思い込むのだ

焦らず、たゆまず、怠らず・・・・足を前に出し続けていたらいつかはゴールに辿り着く

足の痛みでとにかく沈みがちになる気持ちを奮い立たせて前に進んでいるとそのうち中間地点に辿り着く

ここでもまたまた同じことの繰り返しだ「やっと半分か・・・」などと思ってはいけない

「よ~~し!半分来たああああ!!大丈夫!大丈夫!俺は大丈夫!!」と自分を鼓舞するのだ

次の目標地点は28k・・・・レースの3分の2まで走破したことになる

ここでも「あとたったの3分の1だ!歩いていてもゴール出来る!」と思い込む

28k地点から2k進むと30k地点の看板が見えてくる

このころになると意識も白濁してきてまるで夢遊病者のごとく走っていることが多い

30k地点の看板を見て何故か俺はいつも「あと10kか・・・・」と思ってしまうのだ

本当は12・195k残っているはずだが何故か2・195kはオマケで数に入れなくなってくる

そこからは35k地点でも「あと5kか・・・」と思ってしまう始末だ

この35k地点あたりでフルマラソンの生みの苦しみを味わうことになる

そんな時は俺は周りを走っているランナーに誰彼となく話しかけることにしている

この辺では周りを走っているランナーはペースはみな同じだ

「いっやーッ!もう走るの飽きちゃいましたネ!!」と話しかけると

たいていのランナーは「そうですね!でもも少しだから頑張りましょう!!」と応えてくれる

こうやって自分の萎える気持ちを誤魔化しながら最後の数キロを走り切るのだ

あとはゴール付近の喧騒が聞こえてくると自然と心も身体も軽くなってくる

不思議なものだ・・・・・

富山マラソンまであと4日・・・・はたして俺はゴールに辿り着けるのだろうか?