「お前は『アカン、アカン詐欺』や!」とボッチやSは俺のことを口々に罵る

どうやら俺がレースのまえになるととたんに

「もうアカン!もう走れん!」とか「今回はアカンかも知れん!」と弱気の発言を繰り返すことを指して言っているみたいだ

それでも俺にしてみれば逆に自信満々のほうがその心理が分からない

例えば、毎日毎日50kのロードワークを欠かさないというようなランナーなら

フルマラソンの42・195kmなどへの河童だと思うけど

こちとら(なんちゃってランナー)は1日たった5kのランニングでさえ顎を出す始末なのだ

そんなヤツがフルマラソンに余裕をもって臨めるはずがない

だからいくら練習してもこれで大丈夫だとはとても思えないのだ

それはレースが始まってからも同じで、いつも俺はスタートと同時に自分の身体と会話する作業に入る

「足は大丈夫か?・・・呼吸は大丈夫か?・・・・フォームは崩れていないか?・・・」

そうやって恐る恐る自分のコンデションを確かめながら走っている

その結果として後半にボッチに追いつくこともあれば逃げ切られることもある

だから俺は自分で自分の身体を信じていないのだ

それでもやはりあの長い長い苦行の後のゴールの歓喜の瞬間が忘れられなくて性懲りもなく再びマラソン大会にエントリーしてしまうのだ

昨日の夜も秋の金沢マラソンのエントリー抽選に応募してしまった

果たしてその頃、俺にはフルマラソンを完走するだけの体力が残っているのだろうか?

だいたいにして俺はこの世に存在しているのだろうか?