シュウちゃんと初めて会った夜のことはよく覚えているが
Nとのファーストコンタクトはあまり記憶に残っていない・・・・
いつの間にかそこに居た・・・・・という感じである
俺たちが住んでいた下宿は浪人生専門の下宿屋で部屋は4つ
そのうちの一つにどういうわけか高校の先生が住んでいて
あとの三部屋が浪人生だった
真ん中の部屋が俺で右隣がシュウちゃん、左隣がマツオカだった
このマツオカが津高出身でそのツレがNである・・・・・
Nは浪人生のくせに高校時代の友達の部屋をあっちにフラフラ
こっちにフラフラと泊まり歩いていたのだ・・・・・
Nがやってくるとマツオカの部屋に俺とシュウちゃんが行き
みんなで車座に座り、広げた新聞紙の上にカップヌードル
生のまま砕いてそれをポリポリ齧りながら安い酒を飲んで
朝まで語り合った・・・・・・・・
カップヌードルはお湯をかけて食べるものだと信じ込んでいた俺には
新鮮な発想だった・・・・・・・
そして何より驚かされたのはNの高校生活である・・・・・
「月曜の3限目の数学の授業はおもしろそうだったから
仕方なく旅から帰ってきた・・・・・」
なんてことをシレっと話す
高校の3年間を毎日毎日遅刻に怯えながら学校までの道を走っていた
俺ってなんだったんだろう?・・・・・そう思った・・・・
Nは大学受験もクロスワードパズルぐらいにしか思っていない節があって
問題作成者とのゲームみたいなもんだとうそぶいていた・・・・
そんなNが今は受験生を教えているというのも何の因果だろう・・・