新型コロナウイルスの主な感染様式が空気感染であることは、すでに世界の専門家の間では、コンセンサスを得た事実なのだ。

ウイルスは皮膚からは感染しないので、テーブルやいす、ドアノブのアルコール消毒は無意味だと書いている。なんて多くの誤った対策のために、無駄なエネルギーを費やしてきたのか、とため息が出た。

飲食店のテーブルに置かれたパーティションも意味がないという。真に有効な対策は、換気をしっかりすることに尽きるというのだ。

冬に重症患者が増えるのは、湿度が低く小さなエアロゾルが空中を漂い続けるうえに、暖房のために閉め切るので換気が悪くなるからだ。夏の時期に多くが軽症だからと言って油断できず、次に来る秋冬は、流行の規模も重症者も大きくなるのが普通だとしている。

空気感染を理解できれば、対処の基本は長時間の「3密」回避とユニバーサルマスキングであることがわかるだろう。「換気の悪い密閉空間」「多数が集まる密集場所」「間近で会話や発声をする密接場面」。このうち1つでも危険だと警鐘している。空気感染では、それぞれが感染を高確率で起こす要素なのだ。

有効な感染対策として、うがい、鼻うがい、口ゆすぎを勧めている。大阪府の吉村洋文知事が発表して話題になったヨード液(イソジン)でのうがいもオススメで、吉村知事は基本的に間違っていなかったという。

西村さんを含む世界中の研究者が、ヨウ素液を使った新型コロナウイルスの不活化実証実験で、その有効性を確認している。西村さんが勤務する仙台医療センターの歯科口腔外科では、受診者にヨードのうがい液を使ってゆっくり30秒間ほどかけて口ゆすぎをしてもらっている。職員の感染は一つも起きていないそうだ。

・フェイスシールド・マウスシールドでは何も防げない・風が吹いていて、人が密になっていない戸外ではマスクは不要・駅の階段など人混みの中では、マスクをしていても走ってはいけない

などの注意点を挙げている。

空気感染を防ぐことが大切だとわかれば、無意味な対策が見えてくる。手のアルコール消毒は無意味だし、レジのお金の受け渡しに感染リスクはない。

本書では、いわゆる専門家やテレビのコメンテーターの間違いも数多く指摘している。変異株についても、一般の人達が過剰に怖がって日常生活に支障をきたすのはナンセンスだという。

必要以上に恐れることはなく、これまでどおり「3密」を避け、換気とマスクをしっかりという基本を守るよう呼び掛けている。