何度も何度もリタイアしようと思った・・・・そんな厳しいレースだった

毎年一筋縄ではいかないのが加賀温泉郷マラソン大会だ・・・・

ここ2週間もトレーニングを休んでいたというボッチと一緒にスタートラインに並ぶ

ヤツは82kg、俺は61・5kgと共にお腹の辺りがだぶついている・・・

天気は曇りだったが気温はそこそこ高かったので俺は汗が止まらなかった

先行するボッチを追いかけてボチボチ走っていたら26k辺りでなんとか追いついた

声をかけようと思ったらあと1mで追いつくというところでまるで俺の姿が見えていたかのようにボッチは再び走り出してしまった

そこからまた500mほど追いかけてやっと声をかける・・・・

俺もかなりバテていたがヤツも疲労困憊の様子だ・・・ちょっとだけ俺が前に出る

ふくらはぎが痙攣を起こしていたけど騙しだまし走って居た俺はその次のエイドで座り込んでふくらはぎにバンテリンを塗り込んだ

そんな俺のことが視界に入らなかったのだろう・・・・

ボッチは俺を抜いてまた俺の前を走り出した

俺はバンテリンを塗ってもふくらはぎの痙攣が治らずボチボチ歩くしか無かった

35kぐらいの折り返しで300mほど先を行くボッチを発見・・・・

声をかけると「あれ?何でやっちゃん(俺の)後ろにいるの?」とヤツが言う

やっぱり座り込んでいた俺のことは見えていなかったのだ

ふくらはぎの痙攣がいつまでも治らないことに業を煮やした俺は次のエイドでは遂に塩をたっぷり口に含んでみた

ミネラル不足=塩不足だろう!!!!という訳だ

これがまた塩辛いのなんのって!・・・・・まあ、当たり前だわな・・・塩なんだから

ところがこの蛮行がふくらはぎの痙攣には劇的に効くことになる・・・

少しずつ走り始めたらなんとかふくらはぎも痙攣しなくなったのだ

そこからは前を走るランナーが白いTシャツだと、ボッチかな?と思うが近づいてみると違うということの繰り返し・・・・

それでも愚直に前を見て走って居たらナント!40kあたりで遂にボッチに追いついてしまった

こうなったらもう追い抜くしか無い・・・声をかけて併走である・・・・・

60過ぎの爺さんが二人、ヘロヘロになりながらゴール前の競り合いだ

ところがこのマラソン大会は最後の最後にきて長い長い坂が待っている意地悪なコースなのだ

ゴールがある陸上競技場のトラックまで一緒に走ったらフィジカルで劣る俺はボッチには絶対勝てない

だから俺としてはどうしてもこの坂でその差を広げておかなければならないのだ

「おい!爺さん!アンタ、なんでそんなに必死こいて走ってんだ?!」という周りのランナーの冷ややかな視線の中、俺はしゃにむに坂を登った・・・・・